「ブッダのことば」スッタニパータ 中村元 訳 岩波文庫


ブッダのことば

スッタニパータは、仏教において最も古い聖典のひとつとされるものです。

「ブッダのことば」スッタニパータについて

内容は対話形式となっており、ブッダの教えがわかりやすく率直に語られます。

古来、中国や日本などには、あまり知られていませんでしたが、ブッダを知る上ではとても重要な書です。

訳者の中村元先生も本書の解説のなかで「ブッダに最も近く迫りうる書の一つ」とおっしゃっています。

中村元先生は、仏教研究の第一人者で、学者にありがちな難解な文言を並べるようなことをせず、なるべくやさしい、簡易な言葉を使用される方です。

これは、仏教を深く考察し真に理解しているからこそできることと推察します。

さて、スッタニパータも簡易な言葉で、繰り返し語りかけてくる文章となっています。

その内容は、何度も同じ内容を繰り返したりもしますが、これは詩の形式を取っているからです。

もともと文字ではなく、言葉で伝えられたものなので、その方が記憶に残り、伝えやすいという面もあったと推測します。

また、さまざまな比喩を使用した文章でもあります。これは、ブッダが、説く相手に合わせて、各人の心に届くように語りかけたからです。

よって、読者の我々も、この書籍全てを無理に理解するのではなく、現時点で自分に響くことばを脳裏にきざみ、あるいは心に染み渡らせ、味わえば良いかと考えます。

そして、時をおいてまた本書を開き、その時点で心に響くことばを拾っていく、そういった読み方も良いのではないでしょうか。

また、学究の徒であれば、本書の詳細ですばらしい注釈を元に研究するのも良いですし、私のようなアマチュアでも本注釈を読むと、なるほどと理解が深まる興味深い情報が多々あります。

ですから、注釈についても、一度は目を通されてみることをお勧めします。


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