本書は、仏教の歴史、教理など全般を網羅していて、その基本的な部分を把握するのに便利な書です。
仏教と呼ばれるようになったのは比較的新しい
冒頭より早速「仏教」という言葉が「我が国では明治時代にはじまり、それ以前の千余年は仏法や仏道などと呼ばれた」ということを教えられました。
仏教を研究しよう、と意気込んでいた自分が「仏教」という言葉自体について良く考えていなかったことが少し恥ずかしくもあり、また、早めに教えて貰って感謝した次第です。
万人向きの入門書ではない
仏教として基本的に抑えておくべき用語とその解説が載っているので、今後仏教を学ぶ上での指針となります。
但し、言い回しが難解な部分も多々有り、万人向けの入門書とは言い難いです。大学の教科書的といいますか。実際、そういった用途で使われているのかもしれません。
例えアマチュアでも、これから仏教を研究しようというある程度の意気込みを持った人向きと感じました。
仏教をシンプルに学びたい、理解したい向き、その中心に流れる根本的な部分のみ追求したい向きなどは、今後深く学ぶべき重要な言葉や知識のみ拾って、自分に必要ない部分(例えば用語の語源的な部分など)はさらっと読み流しても良いと思います。
重要と思われる言葉のみを拾っておき、それぞれ自分にとってわかりやすく説明してくれる関連書籍を見つけ理解する、といった方法も取れるでしょう。
また、私の場合は、主に初期仏教を学びたいと考えているので、部派仏教以降は、仏教の現代までの流れを抑える程度に軽く読み流しました。
ベックの「仏教」から仏教への情熱を学びましたが、本書においては、仏教の現代に至るまでの経緯を学ぶことができ、今まで曖昧であった部分を明瞭にすることができました。
言い換えますと、自分の学ぶべき仏教の範囲を明確にしてくれた書です。