第一部 一遍 伝説上の仏陀 第二章 仏陀の成道物語


天女

仏陀の伝説部分の物語です。

仏陀の成道物語

1.神々の世界からくだってくる
 天上で神々と暮らしていたボサツが地上にくだり仏陀となった。仏陀が生まれるのは、カピラヴァストゥに住むシャーキャ族のシュッドーダナ王の元である。仏陀はさまざまな奇跡を起こして、シュッドーダナ王の妃マーヤーの体内に宿るべく地上に降りる。

2.入胎
 ボサツは、白象の姿で妃マーヤーの母胎に入る。バラモンたちが、世界を支配するか、世界のものたちを解脱させる仏陀となる王子が生まれる、と占う。 ボサツを宿したマーヤーも不思議な治癒能力をあらわすようになる。

3.誕生
 ボサツは、受胎から十ヶ月で誕生する。そして言う。「私は世界の第一人者である、私は世界の最高者である、これは私の最後の誕生である、私は生と老と死と苦をうちほろぼそう。」シュッドーダナ王は、太子をサルヴァールタシッダと名付ける。妃マーヤは、ボサツが生まれて7日後逝去して天上にのぼる。偉大な仙人アシタが、訪ねてきてサルヴァールタシッダが人々を救う仏陀となると告げる。

4.幼少年時代
 誕生間もない王子が神々の殿堂に足を踏み入れると、神像たちが台座から立ち上がり、 ボサツの足元にひれ伏す。学校にいけば、教師も知らないことを知っていて、教師は驚嘆する。また、王子が瞑想する姿をみて、聖なる仙人はボサツを礼拝し、シュッドーダナ王も足元にひれ伏し、賛美する。

5.結婚と閨房生活
 太子は、シャーキャ族の王族のひとりダンダパーニの娘ゴーパーを、500人のシャーキャ族の青年たちと 競技で競った上で、勝ち取り、妃として娶る。八万四千人の侍女も与えられ、俗世の快楽にふけって時をすごす。 しかし、太子はやがて街に出て、老、病、死、苦を知り、嘆き悲しむ。 また、太子は托鉢僧を見て、自分も遁世する決意をする。シュッドーダナ王はあらゆる手を尽くして愛する太子を引き止めようとする。

6.大いなる遁世
 ボサツは別れの時が来たと知る。肉体の不浄を瞑想し、父王や馭者チャンダカの制止を抑えてついに遁世する。ボサツは托鉢修行者となって遍歴し、また瞑想の修行をし、「虚無の世界への上昇」(無所有処)の段階まで達する。

7.苦行
 ボサツはさらに修行し、瞑想は「意識と無意識との彼岸の世界への上昇」(非想非非想処)に達する。 途中、5人の弟子ができる。ボサツはさらに上の段階を目指して苦行を続ける。六年に渡る壮絶な苦行後、ボサツは次の段階に至るには断食を止める必要があると知り、次の段階に至るために苦行を終える。

8.菩提の座につく
 ボサツは菩提の座につき、仏陀の悟りを得るまでは、この座から動かないと決心する。

9.マーラーとの闘争
 ボサツは悪魔マーラーと対決する。マーラーの攻撃も、誘惑もボサツには全く通じない。 ボサツはマーラーやその軍勢は、幻想や妄想にすぎないと知る。やがて、マーラーも敗北を認め、神々はボサツの勝利を祝って、ボサツを礼拝する。

10.悟り(菩提)
 ボサツはマーラーを降伏させてから、さらに瞑想を深める。そして、ボサツは夜明け前についに「至高完全の悟り」(無常正等覚、阿耨多羅三藐三菩提)を見出し、仏陀となる。仏陀は7日の間、菩提に留まり、神々の祝福を受け、観想の法悦にひたる。トラプシャとバルリカという若い兄弟の商人が仏陀に施食し、在家の弟子として最初の帰依者になる。

 

仏陀の伝説について

物語の冒頭、仏陀が地上におりるにあたって、時、場所、特に家柄などを気にしているのが面白いと思いました。当時のインドの習俗の影響でしょうか。この物語は伝説であり、多分に華美に飾られていますが、その本質において仏陀の悟りに至る道が描かれており、自分の至らぬ精神さえも高みに向かわせてくれるのではないかと感じさせる崇高な物語でした。


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