犀の角
「交わりをしたならば愛情が生ずる。愛情にしたがってこの苦しみが起こる。愛情から禍いの生ずることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め」
「ブッダのことば」の一節です。
人と交われば、苦しみが生じます。その苦しみをあるがままに見つめて、そして真の智慧に気づき、一つ立つサイのツノのごとく独りで歩めと言っています。
しかし、こうも言っています。
「もしも汝が、(賢明で協同し行儀正しい明敏な同伴者)を得たならば、あらゆる危難にうち勝ち、こころ喜び、気をおちつかせて、かれとともに歩め」
相手が同じく正しい道を目指すものであり、また自分が平静に心を保てるのであれば、彼と共に歩めとブッダはおっしゃっています。
解脱への道を歩む者の厳しい姿勢をあらわす一節ではありますが、我々一般の人間も、節度をもった交わりを行いたいものです。
ひとり力強く歩むサイとそこに立つ一本のツノ、その姿をイメージすると自分の中にも少しづつ勇気が湧いてくるようです。