第三章 心と共に呼吸する  第十の考察について


喜び

第十の考察についてです。

第十の考察

「心を喜ばせながら息を吸おう。心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練する。

この考察を行う準備が本当にできたときは、このうえなくうれしく楽しいものです。

第十番目の考察に入ることができるのは、修行がある地点に達したときです。すなわち、身体、感受、心をたやすく鎮めることができ、現在の自分に起こっていることをありのままに受け入れて注意を向けられるようになったときです。

喜びに至る道は大きく分けて二つあります。 ひとつは、集中の修行から生じるものです。集中した心とは幸福な心です。集中することそのものが喜びに溢れています。

十番目の考察においては、別の道を通って喜びに至ろうとします。それは、ヴィパッサナー、すなわち智慧そのものです。

ここで得られる喜びは、五番目の考察で得られる自然に生まれてくる喜悦ではなく、喜悦を獲得したことによる充足感です。今まで九つの考察を手にしてきたという、どちらかというと純粋な学習の喜び、充足感です。

喜ぶ心も無常ではありますが、その幸せに執着せず、それら渇望から解き放たれる智慧を得た時、ヴィパッサナーの喜び、洞察がもたらす喜びを味わいます。

学びに終わりはありません。私達が学び続けるかぎり喜びは深まっていくのです。

第十の考察における私の理解

十番目の考察に至ることにより、ヴィパッサナーの喜びを得られるということが理解できました。その喜びは自然に湧いてくる喜悦ではなく、今まで九つの考察を手にしたことによる充足感、達成感、純粋な学習の喜びであると理解しました。

私の修行においても、一番目の考察から九番目の考察までを繰り返し、十番目の喜びに至るかを実践により確認したいと思います。


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